職印とは? 作る前に知るべきポイントや注意点も解説

職印とは? 作る前に知るべきポイントや注意点も解説

「職印って何?」と疑問に思う人もいるでしょう。職印は通常の印鑑とは異なる印なので、事前に知ってから使うべきです。また、作成方法は通常の印鑑とそこまで変わりません。形や読みやすさ、素材などにこだわり、愛着を持って使えるよう作るのがポイントです。今回は、職印について詳しく解説します。知っておきたい点や注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

職印の持つ意味は主に2つ

職印の持つ意味は、主に次の2つです。

  • 士業に携わる人が使用する職印
  • 会社で使用する職印

それぞれ詳しく解説します。

士業に携わる人が使用する職印

 職印とは? 作る前に知るべきポイントや注意点も解説

士業とは、弁護士や行政書士をはじめとした、最後に「士」が付くことが多い資格や職業です。職印は士業関係の仕事をしている人が使用する印鑑を指すことがあります。職印の他にも、「資格印」「先生印」「肩書印」と呼ばれることがあるのも特徴で、はんこ屋さん21では「職業印鑑」として取り扱っています。

また、士業で使用する職印には「資格名 本名 之印」と刻印するのが基本となります。そのため、既製品ではなくオーダーメイドの印鑑となります。

士業の中で職印の作成が必須なのは、弁護士・司法書士・行政書士の3つです。名簿に登録する際には、職印も一緒に届け出ることが規則で決められています。一方で、整理士などの他の士業であれば職印の作成は必須ではありません。

しかし、資格所有者が承認したことを証明するために、必須でなくても職印を作成する人もいます。

会社で使用する役職印

会社で使用する役職印には、部長や課長などの役職が刻印されています。二重円で「会社名 役職名の印」と刻印するのが基本となります。名前が入らないので、役職者が変わっても買い換えの必要はありません。
代表的なものでは「代表者印」があり、会社の実印として登録される印鑑としても使用されることが多いです。

職印は、会社に勤める上で必須ではありません。しかし、社内で誰が書類を承認したかを把握できるので、作っておくと便利です。

公印は地方団体や国が使用する印鑑

公印は、地方自治体や国が使用する印鑑を指します。身近なものでは、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類に押印されるケースが多いです。これは、それぞれの書類が正当な書類であることを証明するために押印されます。

また、公印は「公(おおやけ)の印鑑」としても解釈できるため、職印と同じ意味で使われることも珍しくありません。実際に、自治体名を記した印鑑と職名を記した印鑑は、自治体によってどちらも公印として扱われています。

公印と職印の違いは?

公印と職印は、公的機関によって区別されてはおらず、どちらも同じ意味です。しかし、公印と職印の特徴を見比べると細かい違いが見えてきます。

印の種類 特徴
公印 公務で使用する印鑑
職印
  • 士業の人が使用する印鑑
  • 職務で使用するために職名が刻印されている

上記から、公印は公務全般で使用する印鑑、職印は士業で使用する印鑑と区別できます。また、公的機関の職名が刻印されている職印は、公印の一部として扱われます。

職印を作る前に知っておきたいポイント

職印を作る前に知っておきたいポイントは、次の2つです。

  • 職印に正しい押し方はない
  • 職印は所属団体で登録手続きを行う

それぞれ詳しく解説します。

職印に正しい押し方はない

職印に正しい押し方はありません。すべての印鑑は、押印方法に法律上の規定がないためです。正しい押し方はもちろん、間違った押し方もありません。

しかし、会社や事務所によっては職印の押し方が決まっているケースもあるので、慣習に従って押印しましょう。特に決まっていない場合は、名前や住所などの右横に押印するのが無難です。

職印は所属団体で登録手続きを行う

職印は、所属団体で登録手続きを行います。資格や地域により登録方法が異なる場合があるので、事前に個別で確認してください。一般的には、窓口や郵送で登録できるケースが多いです。

また、職印を登録すると就労手続きで必要になる職印証明書が発行されます。

職印の作成に失敗しないための選び方やポイント

職印の作成に失敗しないための選び方やポイントは、次のとおりです。

  • 丸印と角印のいずれかから選ぶ
  • 印影には名前と資格名を入れる
  • 雰囲気や読みやすさで書体を選ぶ
  • 職印の形状に合わせたサイズで選ぶ

それぞれ詳しく解説します。

丸印と角印のいずれかから選ぶ

職印には丸面と角印の2種類があり、いずれかから選ぶことになります。丸印は印面が丸く、角印は印面が四角いのが特徴です。

また、登録する印鑑や重要な書類へ押印する際には、一般的に丸印が使われます。領収書などへの押印では、角印を使用することがほとんどです。持っている資格によって作成するべき職印の形が決まっているケースもあるので、事前に規定を確認してから作成しましょう。

はんこ屋さん21では、主に丸印で作成しておりますが、規定上角印での作成を希望される場合に、もちろん対応させていただいております。

印影には名前と資格名を入れる

職印の印影には、3列の縦書きになるように個人名と資格名を刻印します。

丸印であれば資格名を印影の真ん中に入れ、左側に下の名前を入れ、右側に名字を入れます。角印の場合は、右から「資格名 本名 之印」となるように刻印するのが基本です。

また、職印にはフルネームが入るので、既製品を購入して使用することができません。専門店に依頼してオーダーメイドで作ってもらうことになります。

雰囲気や読みやすさで書体を選ぶ

職印の書体を選ぶ際は、雰囲気や読みやすさを重視しましょう。印鑑に使われる書体は、主に以下が挙げられます。

書体 特徴
行書体 楷書体と同様に、一画一画を離すようにして書く書体
楷書体 教科書などに使用されている書体
隷書体 篆書体が簡略化されて生まれた書体
古印体 日本古来の書体といわれている
印相体 八方広がりの形をしていることから、縁起が良いとされる書体
篆書体 日本の紙幣などにも使用されている歴史の古い書体

職印の書体として採用されやすいのは、篆書体や古印体です。篆書体は複雑な書体や雰囲気のある書体が好きな人に、古印体は読みやすい書体を選びたい人に向いています。

丸印であれば、列ごとの書体を変えることも可能です。例えば、真ん中の資格名を篆書体で刻印し、左右の名前を古印体で刻印する方法もあります。

職印の形状に合わせたサイズで選ぶ

職印を作る際は、形状に合わせたサイズを意識する必要もあります。組織によってはサイズ規定が定められているところもあるので、事前に確認しましょう。規定がなければ、押印する書類や押印する箇所に合った大きさで選ぶのがおすすめです。

また、職印の一般的なサイズは形状によって異なります。丸印であれば16.5~21.0mm、角印であれば21.0~27.0mmが目安です。会社で使用する職印を作成する際に、丸印よりも角印のほうが大きくなるように作る習慣があるため、角印のほうが丸印よりも大きく作られる傾向にあります。

職印を作成する際の注意点

 職印とは? 作る前に知るべきポイントや注意点も解説

職印を作成する際は、次の点に注意しましょう。

  • 職印の登録義務がある人は登録先の規格を確認する
  • フリーソフトでは職印を作成できない場合が多い

それぞれ詳しく解説します。

職印の登録義務がある人は登録先の規格を確認する

職印の登録義務がある人は、登録先の企画を確認しましょう。例として、東京都行政書士会の職印届けでは以下のように決められています。

職印の大きさは一辺が15mm以上~24mm以下の正方形・角印とする。

様式は、縦書き『行政書士○○(氏名)之印』とする。

職印に規定があるケースでは、必ず決まりに従って職印を作成してください。もちろん、職印を登録する義務がない人や規定がない人であれば自由に作成できます。

フリーソフトでは職印を作成できない場合が多い

職印は、フリーソフトで作成できない場合がほとんどです。今ではダウンロードするだけですぐに電子印鑑を作成できるフリーソフトが多く、便利に活用できます。

しかし、フリーソフトによる印鑑作成では、書体やサイズなど細部までこだわった職印を作成するのが難しいです。登録義務がある人だと、フリーソフトの電子印影では適切な職印を作ることができない可能性が高いでしょう。

登録義務が必要な職印を作りたい人は、フリーソフトではなく印鑑専門店で専用の印鑑を作ってもらうのがベストです。専門店であれば書体や素材など柔軟に対応してくれるケースが多いため、自分だけの職印が欲しい人にも向いています。

まとめ

今回は、職印について紹介しました。

職印は、士業で使うものと会社で使うもので2つの意味があります。似た言葉に公印がありますが、広く捉えればどちらも同じ意味です。しかし、職印は主に士業で使うのに対し、公印は公務で使用するのが主な違いといえます。

また、職印をはじめとした印鑑に正しい押し方や間違った押し方はありません。一方で、所属団体で登録手続きを行う必要があります。

職印は作ってからずっと使うものなので、形や書体の雰囲気などを重視しましょう。素材は職印の雰囲気や耐久性に関わる要素になるため、それぞれの印材の特徴を確認し自分に合ったものを選ぶのがベストです。

職印についてしっかりと理解した上で、この機会に自分だけの職印を作りましょう。

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