2022年8月17日 公開
2023年7月27日 加筆
「銀行印とは何か?」「作成するには何を基準にすれば良いのか?」…気になりますよね。
銀行印とは、主に銀行の口座開設や銀行への登録情報を変更する際の本人確認として利用される印鑑のことです。
個人が使う印鑑として最も重要なものは役所に登録をする実印ですが、銀行印は実印に次ぐ重要度の高い印鑑でもあります。
本記事では、銀行印の概要や銀行印を作成するときのポイントをご紹介します。
銀行印についての規定は実印に比べるとほとんどないに等しいため、ある程度自由な印鑑の作成が可能です。
ただし、あまりに凝ったデザインにしてしまうと銀行から登録を断られてしまう可能性があるため注意も必要です。
記事内では、銀行印を作るときに検討すべきポイントもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
銀行印とは
銀行印とは、その名の通り銀行での手続きに利用する印鑑です。銀行だけでなく信用金庫や信用組合、クレジットカード会社などでも銀行印が使われています。金融関連の手続きに本人確認として利用するものと思っていただいて良いでしょう。現金の引き出しはATMで、その他の手続きはネットという人も増えてきていますが、ATM限度を超える大きなお金を引き出したり、その他窓口での対応が必要な時には銀行印を持参して手続きをおこないます。銀行印は自身の財産を扱う際に必要になるものですので、実印に次ぐ重要度の高い印鑑でもあります。
実印との違い
個人が利用する印鑑には銀行印の他に実印と認印がありますが、実印が最も重要な印鑑です。実印は、役所での印鑑登録が完了した印鑑のことで、登録できるのは一人一個に限られています。銀行印も金融機関に登録する印鑑として信頼性のある印鑑ではありますが、実印はより重要度の高い契約などに用いられます。具体的には、住宅や土地の売買契約や自動車の取引契約などです。一人一本に登録が限られている実印ですが、銀行印の場合は複数の印鑑を作成して金融機関ごとに別々の銀行印を登録しても問題ありません。複数登録ができる点においても、実印に比べると少し重要度が下がりますね。実印を銀行印として利用し複数の銀行へ登録することも可能ですが、実印を頻繁に使用することは防犯上あまり好ましいとは言えません。使用用途ごとに印鑑を分けて、別々に保管するようにしましょう。
認印との違い
実印や銀行印に比べ、より日常的な使い方をする印鑑が認印です。認印は承認や確認の意味合いで使うことが多く、荷物の受け取りや雇用契約書の内容確認などに利用されます。実印や銀行印と大きく違うところは、登録する手続きがない点です。実印は役所へ登録、銀行印は金融機関への登録を行いますが、認印はいずれの機関に登録しなくても利用できます。そのため一般的なデザインの認印は大量生産されていますし、100円ショップでも気軽に購入することが可能です。さらに、登録する必要がないためデザインも自由です。認印作成における規定がないので、ニックネームやイラストの刻印など自由に作成しても問題ありません。実印や銀行印を認印として併用することも可能ですが、防犯的な意味合いも含め、それぞれ別々に作成し保管場所も分けておいた方が良いでしょう。
銀行印の利用シーン
銀行印の利用シーンを見ていきます。主な使用用途は以下の通りです。
- 金融機関での口座開設・・・口座開設時の本人確認として利用
- 金融機関の登録情報の変更・・・口座開設時の印鑑と照合のために利用
- 現金の引き出し・・・銀行窓口での本人確認として利用
- 公共料金支払い・・・口座引き落としの際の銀行との照合に利用
- クレジットカード作成・・・口座引き落としの際に銀行への照合に利用
- 小切手や手形・・・小切手を発行する際に当座預金の登録印と照合
金融機関への登録と、手続きの際の照合に利用されています。
銀行印の登録方法
銀行印の登録は口座を開設する金融機関にて行います。
金融機関の口座開設に必要な資料は身分証と事前に作成した銀行印です。口座開設の申請用紙に必要事項を記入し、本人確認欄に銀行印で押印します。
すると金融機関の方で口座開設と同時に銀行印の登録手続きがおこなわれます。
登録が完了すると銀行印での手続きができるようになり、クレジットカードの引き落としや公共料金の引き落としをする際の照合手段として、銀行印の利用が可能になります。
銀行印を作る場所
登録する銀行印についてですが、金融機関も本人確認や照合ができれば良いのでデザイン等に細かなルールがあるわけではありません。かといって100円ショップでも売っているような一般的なデザインのものを登録すると、偽造されるリスクを高めてしまいます。
おすすめなのは、印鑑専門店や印鑑のインターネット通販サイトでの購入です。理由としては、数十年と使い続けられる耐久性のある素材で、唯一無二のデザインの銀行印をオーダーメイドで作ることができるからです。
銀行印の保管方法
銀行印は自身の資金を動かす際に使用する印鑑です。大切な財産を守るためにも銀行印の管理は慎重におこないましょう。紛失や破損などには特に気をつけて管理する必要があります。最重要の実印、日常使いする認印とは場所を分けて保管することがおすすめです。なぜならそれぞれ使用用途と使用頻度が異なるからです。日常使いする認印は当然頻繁に使うものですから、保管場所からの出し入れも頻繁です。また、最も重要な実印も使用用途が広いため、定期的に利用することでしょう。銀行印はネットバンクやATMがあるためそこまで使用頻度は多くありませんが、少し大きなお金が必要など突発的に利用する機会があります。使用頻度の違うものを一緒に保管すると出し入れの際に紛失する原因にもなりますから、分けて保管をすると良いですよ。
銀行印を作るときのポイント
銀行印を作る際に検討すべきポイントをご紹介します。まずは銀行印に関する規定を確認しましょう。
規定
1つ目のポイントは、銀行印の規定です。銀行印の規定は特にありません。ですが、一般社団法人全国銀行協会によれば、銀行印の登録をするのに2つの規定を設けています。
<銀行印の規定>
- キャラクターものは登録不可
- ゴム印などの変形しやすい素材の印鑑は登録不可
キャラクターが彫刻されていると多くの人が同じ印鑑を利用する可能性があり、照合が難しくなってしまうからですね。また、ゴム印などは経年劣化や使用頻度が多いと変形の原因になってしまいます。変形すると照合ができなくなってしまうため、恐れがあると認められれば登録ができません。まとめると、自身の氏名を彫刻したもの、木材やチタンなど耐久性に優れた素材を利用すれば、問題なく銀行印としての登録が可能になります。
サイズ
2つ目のポイントは、銀行印のサイズです。サイズについての規定はないので好きなサイズの印鑑を作成して問題ありません。ですが、持ちやすく押印がしやすいサイズはある程度の決まりがあります。小さいものから直径12mm、13.5mm、15mmが適切なサイズと言われています。女性なら12mm〜13.5mmの丸印、男性なら13.5mm〜15mmの丸棒を選ぶと手にフィットしやすくなります。なお、サイズによって彫刻できる文字数も変わるので、文字数と持ちやすさのバランスを考えながら作成すると良いでしょう。12mmの場合は3文字、13mmの場合は4文字、15mmの場合は6文字が大まかな目安となっています。
刻印
3つ目のポイントは、銀行印の刻印デザインです。フルネーム、名字のみ、名前のみの中から刻印を選びます。厳格な規定はありませんので、イラストなどを入れる方もいらっしゃいます。ただし、本人の名前が確認できなくなるほどのデザインにはしないように気をつけましょう。銀行によっては本人の名前を印影から把握できないと登録を拒まれる可能性があるからです。銀行の登録で問題なく通るデザインの工夫としては、横書きでの刻印があります。少しデザインをアレンジできるのもありますし、他の印鑑との明確な区別が可能です。また、お金が上から下へ流れ出ないように、お金が溜まりやすいようにとゲン担ぎを込めて横書きを選ぶ方もいらっしゃいます。
書体
最後のポイントは、銀行印の書体についてです。印鑑の刻印に採用される書体については、読みやすいものから古印体(こいんたい)・隷書体(れいしょたい)・篆書体(てんしょたい)・印相体(いんそうたい)の4つのいずれかで選ぶのが一般的です。少し読みづらく偽造がしにくい点で、篆書体や印相体を銀行印の書体として選ばれる方が多くいます。日常的で馴染みのある書体に楷書体(かいしょたい)や行書体(ぎょうしょたい)がありますが、左記の2つは文字が細くなる箇所があるため少しの衝撃で欠けや損傷する可能性があり、あまりおすすめされていません。
銀行印におすすめの彫刻方法と印材(印鑑の素材)
金融機関の口座開設やお金の出し入れなどに使う銀行印は、印鑑のなかで実印に次いで重要なものです。それだけに100円ショップなどで誰でも買えるようなものよりは、印鑑専門業者に頼んで自分に合った印鑑を作ることをおすすめします。そのためにも、機械彫りと手彫りがあることや、どのような素材が適しているかを知っておきましょう。
手彫りと機械彫り
印材に名前などを彫刻する方法には手彫りと機械彫りがあります。
手彫りは人間が一つずつ手作業で印面に文字を彫っていきます。そのため、全く同じものを彫ることは難しく、その印影を簡単に真似することはできません。熟練した一級印章彫刻技能士が彫ったものは「芸術品」のようで、その仕上がりが印影の美しさにも反映するといわれます。
一方の機械彫りは、PCで作った印影を彫刻機で彫刻します。手彫りよりも短納期で低コストな点が良いですが、彫り味はどうしても機械的で均一になってしまいます。
手彫りは一つしかない自分の印鑑を手にすることができる反面、時間と費用がかかります。機械彫りは均一な彫り味なため手彫りと比べると偽造しやすくなってしまいますので、保管には十分に気を付けてください。ちなみに手彫りの方が耐久性は高いといわれます。
銀行印に適した素材の例
一般社団法人全国銀行協会は「ゴム印などの変形しやすい素材の印鑑は登録不可」としています。銀行印に適した素材としては長期の使用に耐えることが求められますので、「印鑑の王様」こと象牙をはじめ、近年人気の高いチタン、古くから馴染みのあるオランダ水牛に黒水牛など、ある程度耐久性の高い印鑑が望ましいでしょう。先に上げた印材はどれも耐久性に優れて印影も美しいため、銀行印だけでなく実印にもよく使われる素材です。一般的に象牙が一番高額で、チタン、水牛と値段は違ってきます。
銀行印は銀行毎に使い分けるべきか
実印は一人一本しか登録できませんが、銀行印は1口座に1本ですので、一人で複数作って金融機関ごとに別々の銀行印を登録できます。
同じ銀行印で複数の金融機関に口座を開設した場合、1本の銀行印で済むのでコストや手間はかかりません。ただし、その銀行印を盗難されたときは、全ての口座にリスクが及ぶことになります。
銀行ごとに別々の銀行印を使うことで、リスク分散するのも方法の一つです。その場合はどの銀行印がどの通帳に使ったものか、分かるようにしておく必要があります。
銀行印に関するよくある質問
よくあるのは「名前のみの銀行印は可能なの?」という質問です。銀行印は「フルネーム」、「名字のみ」、「名前のみ」のいずれかを刻印できますが、イラストなどをデザインに使い名前が確認し難い場合は登録できないこともあるので注意が必要です。
また「実印と銀行印は同じものでもいいの?」とよく聞かれます。実印を銀行印として登録することは可能ですが、実印はかなり重要な契約のとき以外はあまり使いません。銀行印とは別にして厳重に保管しましょう。
銀行印のおすすめと購入金額の目安
銀行印を作成する際の料金ですが、印鑑に使う素材によって料金が前後します。基本的にはどれも強度のある素材で、経年劣化しにくく持った時に重厚さを感じられる素材になっています。最近では強度を保ちつつ軽量で持ちやすい印鑑を作れるチタン素材のものも増えてきています。
本象牙
14,740円~
オランダ水牛
7,370円~
天然黒水牛
7,920円~
チタン印鑑
8,800円~
まとめ
銀行印についてまとめます。
- 銀行印とは、金融機関での手続きに利用される印鑑
- 金融機関での口座開設時に登録
- 厳しい規定がないため他の印鑑と区別しやすいデザインも可能
銀行印は、自身の財産を管理するための印鑑でもあります。作成するのに細かな規定はありませんが、偽造を防ぐため市販のものをそのまま使用するのは避けた方が良いでしょう。
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