法人用印鑑の使い分け – 起業に際して知っておきたい法人実印と法人銀行印の違い

起業するには会社設立に向けてさまざまな準備をしなければなりません。その1つが印鑑で、実印として登録する代表者印をはじめ3種類~4種類揃えるのが一般的です。日常生活で印鑑を意識する場面は少ないかもしれませんが、仕事上の契約や重要な手続きで失敗しないためにも、その役割を理解しておきましょう。ここでは個人用の実印や銀行印、認印との違いに触れながら、法人用印鑑の種類と役割について説明します。

はんこ(判子)と印鑑

印鑑とは何かを正確に理解するには、はんこ(判子)との違いを知らねばなりません。はんこを手に持ち朱肉をつけて、書類などに押印する場面で、道具本体となるはんこの正式名称は「印章(いんしょう)」といいます。

印章に朱肉をつけて紙に捺して印字した朱肉のあとが「印影(いんえい)」です。本来は役所や銀行、取引先などの書類に登録して照合に用いる印影のことを「印鑑」と呼びます。豆知識という認識でかまいませんが、厳密には「はんこ=印鑑」でないことを知っておきましょう。

なお一般的には「はんこ」を「印鑑」と呼んでいるので、ここでも混乱しないように以降は「印鑑」と表現します。

実印と銀行印と認印

会社設立のため法人用印鑑を準備する前に、個人用印鑑の種類と役割をきちんと知っておきましょう。

印鑑を捺す行為は「わたしはそれを認めました」を意味しており、宅配便の受け取りから市役所の書類申請までいろいろなケースがあります。
普段は「認印」を使うことが多いと思いますが、重要な手続きになると「実印」が必要になることがあります。市区町村の役所に登録して“公的に認められた印影”が彫られている印鑑が実印です。

実印として使いたい印鑑を住民票のある市町村の役所に届け出て印鑑登録することにより、その印鑑が実印として法律的に認められます。印鑑証明が必要なときは、役所に行って印鑑登録証(カード)を提示すれば証明書を発行してくれます。マイナンバーカードを持っていればコンビニで発行できる自治体もあります。

銀行印

実印が役所に届け出て印鑑登録するのに対して、銀行印は金融機関で預金口座を開設する際に登録する印鑑です。登録するための印鑑と本人確認ができる書類(免許証等)を提示して口座を開設します。登録した印鑑と通帳があれば預金を引き出せるため紛失盗難によって悪用されないよう別々に保管することをおすすめします。

認印

認印は実印や銀行印のように登録していない印鑑のことをそう呼び、日常生活で宅配便の受け取りなどに使いますが、それでも押印すればそれを認めたことになります。法律上は実印と同じ効力を持つこともあるので、軽々しく扱うのは禁物です。実印や銀行印と同じように大切に保管しましょう。

このような個人用印鑑のしくみを基本的な知識として持っていれば、法人用印鑑を準備する時に理解しやすくなります。

法人用印鑑の種類

法人用印鑑(法人印鑑ということも)には代表者印(法人実印・役職印)、法人銀行印(会社銀行印)をはじめ社印(角印)、住所印などがあります。

代表者印

代表者印は法人実印や役職印とも呼ばれるもので、個人用印鑑における実印にあたります。会社を設立するには市町村の役所でなく法務局に登記しなければなりません。登録の際には厳密な規制があり「印鑑の大きさが1cm以上3cm以内の正方形に収まるもの」および「照合に適しているもの」でなければ登記できません。

代表者印はその名の通り組織の代表として官公庁に提出する書類や重要な契約書に押印する印鑑です。法人代表者の権利・義務を立証するものなので無断で持ち出されないように十分な管理が必要です。

法人銀行印

法人の銀行印は、企業が銀行と当座取引をする際に登録する印鑑です。他の用途で使う法人用印鑑を銀行印として兼用することは可能ですが、盗難や紛失などのリスク管理を考えて銀行印は専用の印鑑を登録したほうがよいでしょう。

代表者印のようにサイズの規制はありませんが、見分けやすいように銀行印の方を小さめに作るのが一般的です。

社印・角印

押印した印影の形が四角の印鑑なので角印とも呼ばれ、個人用印鑑では認印にあたります。代表者印のように登記することや、法人銀行印のように口座開設に用いることはなく、企業で使用する見積書や請求書、領収書といった書類に認印として使います。

住所印

納品書や領収書などに使用するゴム印で、印面には社名・住所・連絡先(TEL・FAX)や代表者名などが入っています。一体型のものや順序を組み替えて使う組み合わせ印もあり、朱肉ではなくインク浸透印を使う場合もあります。

住所印を作るという規定はありませんが、業務で発生するさまざまな書類にゴム印を押すだけで社名や住所などの情報が印字できる便利なもので、作業の効率アップのためにも活用する企業は多いようです。

法人用印鑑はこのような種類があり、印鑑の専門店に依頼する場合は社印(角印)や住所印(ゴム印)についても相談することをおすすめします。

印鑑のサイズと印材(素材)

印鑑には種類ごとに適したサイズがあり、印材(素材)もそれぞれ特徴があります。

法人用印鑑のサイズ

代表者印(法人実印・役職印)については法務局に登記する際「印鑑の大きさが10mm以上30mm以内の正方形に収まるもの」という規制があり、印面のサイズは18mmが一般的です。法人銀行印にサイズの規定はありませんが代表者印より小さめの16.5mmが一般的です。

社名の文字数によりサイズも変わるため目安は、代表者印は18㎜~21㎜、法人銀行印は16mm~18mm、社印は21㎜~24㎜となりますが、一般的には区別しやすいように大小をつけて社印(角印)>代表者印>法人銀行印といったサイズの違いを出します。一般的なのは代表者印(18㎜)、法人銀行印(16.5㎜)、社印(24㎜)という組み合わせになります

また代表者印と法人銀行印はさらに念を入れて寸胴な丸棒タイプと天丸タイプに分けることで、サイズだけでなく形状にも変化を付けて感覚的に区別できるようにしておけばより管理が行き届くようになります。
はんこ屋さん21の法人設立印鑑印鑑セットでは、実印が天丸、銀行印は丸棒でお作りいたします。

法人用印鑑の印材(素材)

印材(印鑑の素材)には主に次のようなものがあります。

本象牙

「印材の王様」と呼ばれるほど希少かつ有名な最高級印鑑素材です。象牙特有の気品ある色合いが風格を醸し出していることと、持ったときの絶妙な手触りや重量感も印材に最適と言えるでしょう。何より朱肉の吸着性が良いので押印したときの印影が鮮明で美しく、耐久性に優れているので、一生モノの印鑑として使うことが出来て、特に実印や銀行印にはぴったりの印材です。

希少価値が高く販売店によって価格が大幅に違うこともあり、象牙の部位によって差がでるため数千円から数万円するものまであります。

オランダ水牛

水牛の中でも特に硬質で粘りがあり、優れた印材として知られています。オランダを集積地にして輸出された歴史からオランダ水牛と呼ばれますが、現在はオーストラリアやアフリカ産の陸牛の角を使った印材になります。印材以外でも洋服のボタンや櫛の材料として世界中で愛用されています。

オランダ水牛の印材はさらにランクが分かれ「フ」(茶色の線が入った斑模様)が少ないほどランクが高く、「フ」がまったくない印材は最高級ランクとして「白オランダ水牛」などの呼び名で扱われています。

黒水牛・天然黒水牛

オランダ水牛と同じように水牛の角を加工した印材で、丈夫なため長期の使用に耐えられるのが特徴です。黒水牛の印材には黒く染めた「黒水牛」もありますが、天然黒水牛は「染無」とも呼ばれ、染める必要が無い品質が高い部位を用いており、黒水牛と比べると表面にうっすらと模様が浮かび上がっています。オランダ水牛と同じくフのあるなしで「天然黒水牛」「縞天然黒水牛」と区別されます。
高級感があるため実印や銀行印に使われることが多く、象牙に比べてリーズナブルなことから定番の印材です。

本柘・柘(アカネ)

日本産の本柘は木材の素材としては最も硬質で木目も美しいため、古くから櫛や将棋の駒などに使用されています。東南アジア産のものより国内産、主に鹿児島産のほうが色が白く木目も細かいため 高級品となります。捺印もしやすく親しみのわく素材です。
使用するほどに艶が出て見た目にも美しい印材で、捺印性もよく、使用後は朱肉をきちんとふきとって手入れすれば末永く使うことができます。

主に東南アジアから輸入される「柘」は別名「アカネ」とも呼ばれます。植物性の印材として古くから愛用されており、繊維分の密度が高いため、木材の中では硬質で程よい粘りを持っています。

チタン44

最近話題の印鑑素材がレアメタル(希少金属)のチタンです。レアメタルなのに埋蔵量は豊富なので資源的な問題はありませんが、製造が難しいので流通量が少なく希少性が高いとされます。軽くて錆びにくく、金属アレルギーが起こりにくいメリットから医療用品や自動車の部品、日用品に使われており印材としても注目されているのです。

チタンは粒子が超微粒なため朱肉がよく馴染み、押しムラのない美しい印影が得られます。適度な重みもあるので押印しやすく、耐久性に優れていて長年使えるのが特徴です。歯科医の人工歯根(インプラント)や心臓ペースメーカーなどの医療器具にも利用されるほど安全性が高く、金属アレルギーの心配も少ないのでお肌がデリケートな方も安心して使用できます。

まとめ

以上、はんこ(判子)と印鑑の意味を掘り下げて個人用印鑑の種類と役割を踏まえたうえで、法人用印鑑について説明しました。特に代表社印や法人銀行印となれば、見た目の風格や押印した時の印影の美しさまでが会社のイメージに影響してくるものです。印鑑のサイズや材質の情報も法人用印鑑を準備するうえで必要になることでしょう。あなたが起業を思い立ち会社を設立する際に少しでもお役に立てば幸いです。

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