印鑑はどのように保管すれば良いのか分らないという方や、保管している印鑑をどのようにお手入れすれば良いのかわからないという方は多いのではないでしょうか。そこで、本記事では印鑑の正しい保管方法やお手入れの方法等について解説します。
印鑑の保管方法
印鑑は個人の身分証明をするための重要なものです。劣化、紛失、盗難などを防ぐため適切に保管することが重要です。以下では、印鑑の保管方法について詳しく説明します。
ケースに入れて保管する
印鑑を保管するときはケースに入れて保管しましょう。印鑑をそのままの状態でむき出しで保管しておくと、温度や湿度の影響でヒビ割れが起こることがあります。印鑑ケースは印鑑を傷つけずに保護し、汚れや衝撃による悪影響も防ぎます。ケースには印鑑のサイズに合ったものを選びましょう。皮製や樹脂製のケースのものが多く、開閉が簡単で使いやすいです。
温度や湿度の影響が少ないところで保管する
印鑑を保管するときは、温度や湿度の影響が少なく、直射日光や高温多湿の場所から遠ざけ、安定した環境で保管しましょう。
保管の際は湿気による劣化を防ぐために、湿度調節剤を一緒に入れるのがおすすめです。象牙、黒水牛、柘などの自然素材でできている印鑑は虫害被害防止のため、防虫剤と一緒に保管しましょう。
桐箱に入れて保管する
実印や銀行印などは桐箱に入れて保管しましょう。桐箱は湿度が高いときは膨張して内部へ湿気が侵入するのを防ぎ、湿度が低いときは収縮し水分を放出して、湿度を一定に保ちます。さらに桐箱には湿度調整機能だけではなく、防腐・防虫効果もあります。大切な印鑑をしっかり守りたい方は、桐箱での保管がおすすめです。
実印と銀行印は厳重に保管する
印鑑を保管するとき、とくに実印と銀行印は厳重に保管しましょう。実印とは、住んでいる市区町村に登録した公的に有効な印鑑のことです。また銀行印は、金融機関に登録を行った印鑑です。
実印も銀行印も強い効力を持つため、慎重に取り扱う必要があります。実印や印鑑を保管するときは、金庫などの人目につかない場所に置くのがおすすめです。
木材の場合は朱肉をしっかり落とす
印鑑が木材でできている場合は、使用後にしっかりと朱肉を拭き取りましょう。木材の印鑑は、朱肉とあまり相性がいいとはいえません。印鑑の朱肉には油分が含まれているため、印鑑についたまま放置しておくと、油分が染み込んで印鑑が脆くなるおそれがあります。
木製の印鑑を使った後は、朱肉やインクをしっかりと落として保管しましょう。ティッシュなどを使って朱肉を優しく拭き取り、乾燥した状態で保管することが重要です。
ツノ材の場合は新聞紙に包む
印鑑がツノ材でできている場合は、朱肉を落としたら新聞紙に包み、その後に印鑑ケースにしまいましょう。ツノ材でできた印鑑とは、黒水牛・牛角・本象牙などで作られたものを指します。
ツノ材でできた印鑑は虫食い被害に遭いやすいです。新聞紙で包んだ上で、衣類用の防虫剤と一緒にしまうとさらに安心です。
チタンの印鑑は定期的なメンテナンスを行う
印鑑がチタンでできている場合は、定期的にメンテナンスを行いましょう。金属であるチタンでできた印鑑は耐久性が高いため、朱肉汚れや保管方法にこだわる必要はありません。しかしずっと使っていると、表面の汚れが目立つことがあります。表面を乾いた布で拭いて汚れを落とし、印面を歯ブラシで水洗いして印鑑を清潔に保ちましょう。
印鑑のお手入れの方法
印鑑のお手入れは印鑑の状態を美しく保ち、長持ちさせるために重要です。以下に、印鑑のお手入れ方法を詳しく説明します。
朱肉をきれいに拭き取ること
印鑑をお手入れするときはまず、朱肉をきれいに拭き取りましょう。朱肉が乾燥すると、印鑑の表面に汚れや油膜が付着して見た目が悪くなります。特に木材でできた印鑑は、朱肉の油が染み込んで印面の枠が柔らかくなるおそれがあります。
印鑑を使用した後は、乾いた布やティッシュペーパーを使用して朱肉を丁寧に拭き取ります。汚れがこびりついてしまった場合には、綿棒や歯ブラシなどで擦りましょう。ベンジンやシンナーなどの薬剤は使わないようにしてください。
印鑑ケースにしまい、温度・湿度変化がない場所で保管すること
朱肉を落として印鑑をきれいにしたら、専用の印鑑ケースに入れて、温度や湿度変化がない場所にしまいましょう。印鑑ケースは、汚れや乾燥、衝撃など外部のダメージから印鑑を保護します。また印鑑ケースをしまう場所は、温度や湿度の変化が少ないところがおすすめです。温度や湿度が一定に保たれる場所で保管し、劣化を防ぎましょう。
優しく取り扱うこと
印鑑を取り扱うときは優しく扱うことも重要です。印鑑は床に落とすとヒビが割れてしまったり、叩きつけるように押すと印面が潰れてしまったりする場合があります。印鑑を傷つけないためには、乱暴に扱って取り落としたり、無理に力を入れて捺印したりしないように注意しましょう。保管中も印鑑が傷つかないように、ケースに入れて他の物との接触を控えることも大切です。
年に一度油分を補給すること
ツノ材でできた印鑑のうち、黒水牛や牛角でできた印鑑は、年に一度油分を補給しましょう。黒水牛や牛角で出来た印鑑は乾燥に弱く、メンテナンスをしないとヒビ割れてしまうことがあります。そのため年に一度ほど、椿油やオリーブオイルなどの植物性油使って油分を補給する必要があります。柔らかい布に油を染み込ませて印面部分に塗り込むことで、印鑑を保湿できて乾燥から守れます。
印鑑の保管に当たっての注意点
実印と印鑑登録証、銀行印と通帳を別々に保管することは、印鑑を安全に保管する上で大切なポイントです。以下では、その理由などについて説明します。
実印と印鑑登録証は別々に保管する
公的な力を持つ実印は、印鑑登録証と一緒に使うことで初めて効力を発揮します。もし実印と印鑑登録証を一緒に保管していると、盗難などに遭ったときに不正使用されるリスクが高くなります。実印と印鑑登録証は別々に保管し、盗難時の被害を最小限に抑えましょう。
銀行印と通帳は別々に保管する
強盗などに入られ銀行印と通帳が一緒に持ち出されてしまうと、本人でなくともだれでも自由に口座からお金が引き出せてしまいます。またこのような場合、補償が受けられないこともあります。貯金が全額奪われることがないように、銀行印と通帳は別々に保管しましょう。
まとめ
印鑑の保管に当たってはお手入れやメンテナンスと防犯面の2つの面から保管方法を考える必要があります。また、長持ちさせるためには適切なお手入れを行う事も重要です。本記事を参考に大切な印鑑を正しく保管しましょう。