法人印を印鑑登録するときに知っておくべきポイント

法人印の印鑑登録をするには、登録をする印鑑を事前に製作しておく必要があります。どのような印鑑でも登録できるわけではなく、印鑑を登録するための一定の基準があります。登録しておけば、会社が申請すれば印鑑証明書を交付してもらえます。法人が印鑑登録をする場合は、一般の人が印鑑の登録をおこなう場合とは異なった手続きが必要になります。そのために個人用の印鑑を登録した経験のある人であっても、会社で使用する法人印を登録したい場合は手続きをする際に十分な注意が必要になります。ここでは、法人の印鑑登録にするときに知っておくべきポイントを詳しくご紹介します。

登録をするために作らなければいけない印鑑

法人が印鑑登録をするためにまずしなければいけないのは、登録をするための印鑑を作ることです。登録をするものであっても、たくさんのお金をかけて作らなければいけないわけではなく、価格の安い印鑑であっても登録することは可能です。

昔ほど、紙に実印を押すような機会も少なくなり、業務に使用される印鑑の品質があまり重要視されなった背景には、さまざまな業務がデジタル化していることとも大きく関係しています。法人が印鑑登録をするために使用するものは、高級な素材が使用されているものも多かったのですが、最近では素材にこだわらずに印鑑を作っている会社も増えています。

代表者印(法人実印・役職印)

登録することができる印鑑の大きさや形

法人が印鑑登録をするための印鑑を作成したい場合に、注意が必要なことがいくつかあります。
特に気をつけなければいけないのは、製作する印鑑の大きさです。どのような大きさのものでも登録できるわけではないので、規定に合っていない大きさのものを製作してしまうと、登録ができなくなってしまいます。このような場合は再度、印鑑を製造しているお店に製作を依頼して作り直さなければいけなくなります。
お金だけでなく時間もかかってしまうので、非常に面倒な方法です。このようなミスを事前に防止するためにも、登録することができる印鑑の大きさを知っておくことは非常に重要です。

登記所に提出をしなければいけない印鑑の大きさは、一つの辺の長さが1cmから3cmの正方形に収まる形であることが必要です。
このことは、商業登記規則第9条第3項に規定されています。商業登記規則第9条第4項には印鑑は照合に適するものでなければならないことも、あわせて規定されています。
そのために、これから会社の印鑑を製作する人は、これらの規定をしっかりと頭に入れてから、印鑑を製作しているお店に商品を注文する必要があります。

特に間違いやすいのは1辺の長さで、4cmや5cmなどの大きめのものを間違って作らないように気をつける必要があります。
もう一つ気をつけた方が良いのは印鑑の形で、3cmの正方形から少しでもはみ出てしまう形で作ってしまうと、登録できなくなります。

印鑑の登録をすることができる法務局

法人が印鑑登録をしたい場合は、担当の行政機関に届出をする必要があります。法人が印鑑登録をしなければいけないのは、本店の所在地にある法務局です。そのために、本店以外の場所にも拠点を持っているような会社は、印鑑登録をする時に注意が必要になります。支店の所在地にある法務局に登録をすることはできず、営業所の所在地にある法務局に登録することもできません。

どうしても特定の場所で印鑑登録をしたい場合は、まず本社の場所を移転する必要があります。例えば、支社が東京にあって本社が大阪にあるような会社の場合、東京で印鑑登録をしたい場合は、会社の本社を東京に移転することが必要です。本社を東京に移転してしまえば、東京で印鑑登録ができるようになります。印鑑登録をする場所にこだわっている会社にはおすすめの方法です。

こうした方法で法務局に届けられた印鑑のことを、「代表者印」という名前で呼んでいます。この代表者印が会社の実印として使用されることになります。重要な契約を他の会社とおこなう時などにも、こうした代表者印を会社の実印として使用できます。商業登記法という法律の第20条において、

登記の申請書に押印すべき人間が、あらかじめその印鑑を登記所に提出しなければならないということが規定されています。一般の会社の場合には代表取締役等が、こうした押印すべき人間に該当します。その他の法人の場合には理事などが該当します。

登記をしておけばできる印鑑証明書の発行

法人が印鑑登録をしておけば、印鑑証明書を発行してもらえます。印鑑証明書は法人が事業活動をするうえで、さまざまな場面で必要になります。
法人が銀行などの金融機関と取引をする場合にも、印鑑証明書が求められることがあります。印鑑証明書が必要になるのは、法人が金融機関で法人口座を開設する場合です。印鑑証明書を提出することができないと、金融機関で法人口座を作れなくなってしまうので、口座を作る前には必ず、印鑑の登録をして証明書を発行してもらえるようにしておく必要があります。

法人が不動産の契約をする時にも、印鑑証明書は必須になります。法人が所有する不動産を売却したい場合だけでなく、他の会社から不動産を購入したい場合にも、印鑑証明書を入手することが重要になります。会社のオフィスとして使用するための建物を購入したい場合にも、こうした書類は必須です。

建物を建てるために土地を購入したい場合にも、同じように証明書が必要になります。そのために、土地の取引をする予定のある法人は、早めに印鑑を法務局に登録しておいた方が良いでしょう。所有権を移転するための登記をする時にも、印鑑証明書は必要になります。所有権の移転が他者に対して効力を持つためには、あらかじめ登記をしておく必要があり、登記をし忘れてしまうと他者に対抗できなくなってしまうこともあります。したがって、このような場合にも早めの登記が重要です。

印鑑証明書を発行してもらえる法務局

法人が登録してある印鑑の印鑑証明書を取得したい場合は、法務局に発行を依頼する必要があります。最近は役所に直接行かなくても、インターネット上で請求することも可能になっています。法務局が会社から近い場所にある人や、役所に行くことができる時間がある人ならば、直接法務局に行って発行してもらった方が、短い時間で発行してもらえます。ですが、会社から近い場所に法務局がない場合や、あっても役所に行くための十分な時間がない場合には、インターネットを利用して請求した方が良いでしょう。

なお、法務局に直接足を運んで印鑑証明書を発行してもらう場合は、全国にあるどこの法務局でも発行のための手続きができます。印鑑登録ができる法務局は、法人の本店の所在地にある法務局に限られていましたが、印鑑証明書を発行してもらうだけならば、それ以外の法務局でも手続きができます。

このような方法で印鑑証明書を取得できるようになったのは、比較的最近のことです。少し前までは、指定された特定の法務局だけで、印鑑証明書を発行してもらうことができました。

ですが、利用者がより簡単に証明書を入手できるように制度が変更されています。法人が印鑑証明書を簡単により簡単に入手できる方法として最適なのは、電子証明を利用する方法です。法人が事前に電子証明をしていれば、インターネット上でいつでも印鑑証明書を取得できます。

印鑑証明書を発行してもらう場合に必要な手数料

法人が登録した印鑑の証明書を法務局で入手するには、手数料の支払いが必要です。印鑑証明書を交付してもらうために必要となる費用は、手続きをする方法によって違いがあります。法務局に直接足を運んで証明書を入手する方法の方が、発行のために必要となる費用の支払いが高くなります。ですがその分素早く必要な書類を入手できるので、できるだけ時間をかけないで印鑑証明書を発行してもらいたい場合は、法務局まで自分で出向いて、交付してもらった方が最適です。

法務局で手続きをして印鑑証明書を発行してもらう場合、必要となる費用は450円です。これは証明書1枚あたりの発行料金で、複数の証明書を発行してもらいたい場合には、枚数に合わせた費用が必要になります。2枚ならば合計で900円となり、5枚交付してもらう場合には2250円の料金になります。

支払いの時に気をつけなければいけないのは、これらの料金は現金でしか支払いができないことです。そのために、普段はクレジットカードしか使用していない人は、支払いのために使える現金を用意しておく必要があります。

印鑑証明書はインターネットから請求をすれば、より安い料金で入手することが可能です。一番安い方法は、インターネットで請求して、法務局の窓口で受け取りをする方法です。この方法ならば1枚あたり390円で交付してもらえます。送付してもらう場合の費用は410円です。

まとめ

法人が印鑑登録をするためには、まず印鑑の制作をお店に依頼することが必要です。印鑑を作る時に注意しなければいけないのは、印鑑のサイズと形です。1cmから3cmの正方形に収まる大きさの印鑑を作る必要があります。印鑑登録をする場合には、法人の本店の所在地にある法務局に登録が必要です。印鑑登録をしておけば、法人は印鑑証明書を交付してもらえます。交付の請求はインターネットからもできます。インターネットから請求した方が、料金が安くなります。

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