ゴム印とは?概要や使用上の注意点などを解説

はんこ(判子)には、個人で使うものや法人が使うものなどさまざまな種類があります。その中でもゴム印は会社やお店でよく使用されています。
近年ペーパーレス化が進んでいるとはいえ、はんこが必要なシーンはまだまだたくさんあります。毎回手書きが面倒な業務でも、ゴム印を使うことで効率化できます。会社やお店で働くまではあまり使ったことのないゴム印ですが、どういった種類があるのか、特徴や使用上の注意などを詳しく解説していきます。

ゴム印とは?

ゴム印の多くは会社などで使うものがほとんどのため、どれを指すのか分からない方が多いかもしれません。ゴム印の特徴について解説します。

ゴム印は総称

「はんこ」にはさまざまな種類がありますが、ゴム印とは印面がゴムでできている「はんこ」の総称です。会社の住所などが入った住所印や、日付が入ったデータ印なども、印面の素材がゴムでできていれば全てゴム印と呼ぶことができます。

ゴム印と印鑑の違い

大きくわけて印面の素材に違いがあります。印鑑の場合は、柘などの木材や象や牛などの牙や角、その他にはチタンといった金属の硬い素材を掘って作られています。対してゴム印の印面はゴム製の素材でできています。

ゴム印の使用用途

ゴム印は柔らかい弾力のある素材であるため、力加減やバランスを意識しなくてもキレイに押せます。そのため、頻繁に押す必要のある書類や、続けて何回も押す必要のある場合にはゴム印の使用がおすすめです。

一方で、かたい素材の印鑑は押印の際に、均一に力を加えないとキレイな印影が出ません。そのため紙の裏側に引く専用のマットもあり、一枚一枚を丁寧に押します。

ゴム印の素材について

印面の部分は樹脂ゴムです。これは水性のインクに適した素材で、紙に押印するのであればゴム面がオレンジ色のゴム印が適しています。

ゴム印の本体(柄)の部分

印面がゴムではありますが、持ち手本体は用途によって素材はさまざまです。のべ木製やプラスチック、アクリルなど透けるタイプで握りやすい形状のものなどがあります。

ゴム印使用時の注意

ゴム印を使用する際の注意点をご紹介します。意識するだけで長持ちさせることができます。

ゴム印にはスタンプ台を使う

通常の印鑑は朱肉を使うのに対し、ゴム印はスタンプ台を使用します。それぞれ印面の素材が違うことで、朱肉・スタンプ台も使い分ける必要があります。
朱肉は油性、スタンプ台は水性です。ゴムは油に弱い特性がありますので、ゴム印であるにも関わらず、長期間朱肉の使用を続けていると印面が劣化・変形していきます。
印鑑も同じで、朱肉でなくスタンプ台を使っていると、劣化やヒビ割れの原因となります。それぞれのはんこにあったものをお使いください。
油性のスタンプで押す必要がある場合には「黒ゴム」のゴム印と専用のスタンプ台を使用することをおすすめします。

ゴム印を長持ちさせるお手入れ方法

ゴム印は印鑑よりも使用頻度が高いため、デスク上などに置いていることが多いです。そのため徐々にホコリなどが印面に付着していき、隙間に入り込んで汚れが溜まっていきます。押印した際に印影がキレイに出なくなってきた場合は、簡単なお手入れで復活します。

普段は、押した後に残ったインクを拭き取るだけでも、ゴム印の寿命が守られます。
特に、汚れがひどい場合には、中性洗剤のハンドソープや食器洗い用洗剤で軽く流します。その他の洗剤やアルコールは変形の恐れがあるため使用は不可です。汚れがひどい場合は柔らかめのブラシを使って軽く洗い流しましょう。強くこすると印面がキズついたり変形したりする恐れがあります。汚れが溜まらないよう定期的なお手入れをおすすめします。

ゴム印の種類

ゴム印と一言でいっても多くの種類があります。それぞれを詳しくご紹介します。

1行印

1行のはんこで文字の大きさや長さによって値段が変わります。1文字が最小のものは6号で、1文字の大きさが約30mmです。徐々に大きくなり1号になると1文字の大きさ約100mmです。最大のサイズである初号は1文字の大きさ約150mmです。科目印を始め様々な用途で作られます。

住所印

1行印とは異なり、2行以上の複数行タイプのはんこで、住所・会社名・代表者名・電話・FAX番号などをいれられます。

また本体(持ち手)の部分がのべ木台、プラ台の一体型のものと、自由に組み合わせて使える親子印のフリーメイトがあります。
のべ木台は直方体の木製の持ち手で、力を伝えやすい形状です。プラ台は持ち手の部分がアクリル製の透明で、握りやすい形状になっており、力を均等に加えやすいのが特徴です。フリーメイトは親子印やなどと呼ばれる1行ずつ分解できるタイプのゴム印台木です。住所だけを使用したり順番を入れ替えられたりするためこれ一つあると便利なゴム印です。

小切手印

小切手はもちろんのこと、賃貸契約や保険、金融機関などとの契約書でも使用するはんこです。住所・会社名・代表者名を入れるもので、仕様は住所印とほぼ同様です。住所印との違いは印面の内容が簡潔であることと、代表者名が強調されたレイアウトなどです。

振込印

振込印とは、自社の銀行振込先を相手方に伝えるためのはんこです。振込先である銀行名・支店名・番号・振込先名(社名)を入れて、「下記口座にお振込みください」などのメッセージを入れることも可能です。

宛名印

住所印を兼用することも可能ですが、自社の住所と会社名に加え、部署などが複数ある会社であれば、その部署名などを入れておくと便利です。返信封筒などへの押印作業が多い場合などには別途作成しておくと良いかもしれません。

角印

会社名が入った正方形の印鑑のことです。社印として使われる会社の認印のようなもので、請求書や領収書など会社として発行する書類に押すためのはんこです。法務局に届け出を行っている丸印とは異なり賃貸や保険などの重要な契約や金融機関など公的な届け出の書類には使用しません。丸印や銀行印は会社設立のタイミングで法務局や銀行へと届け出を行う必要がありますが、角印は届け出が必要ありません。会社の角印と丸印は、個人の認印と実印のような感覚で使い分けます。

サイズは小さいもので15mm角のものから、30mm角のものまでありますが、24mm角が一般的なサイズです。印面には会社名を縦書きに彫るのが一般的で、文字数のバランスを考えて、社名の後に「印」や「之印」と入れてレイアウトを整えることもあります。

書体は、篆書体(てんしょたい)や、古印体(こいんたい)が主流です。
篆書体は縦と横の線が垂直水平で、曲線も垂直水平で表されます。上下左右が対称になっているような見た目をしていて、一見すると記号のようでなんと書いてあるか分かりません。
古印体も横線が平行で見やすさがありますが、印鑑らしく丸みのある線ではっきりした読みやすい書体です。

風雅印

風雅印とは年賀状や挨拶状などのはがきや封筒に押すためのはんこで、自身の住所・名前・電話番号などが入り、外枠で囲われています。風雅印を使うと古き良きを感じさせてくれる古風なはんこです。上記でご紹介したゴム印は角印を除いて明朝体やゴシック体などの書体が一般的ですが、風雅印の書体では古印体(こいんたい)・行書体(ぎょうしょたい)・隷書体(れいしょたい)が雰囲気に合います。

古印体は、前項でご紹介したとおりです。行書体は楷書体を少し崩した形で、線と線がつながって動きが感じられる書体です。隷書体は線の入りと終わりの部分が、筆書きで書くときとは全く逆の入り方をするのが特徴で、独特でありながらも見やすい書体です。

のし袋印

のし袋印とはその名のとおり、のし袋の表面に押すはんこのことです。楷書体や行書体の書体で縦書きにすることでキレイな筆文字風の雰囲気がでます。のし袋のサイズに合わせて長さ50mm、55mm、60mmからお選びいただけます。

一昔前までは、会社の事務の方でキレイな字を書く方が一人や二人おられました。またデパートなどでのし袋を購入すると文字入れサービスなどもあります。しかしながら急いでいる場合など、手軽に押せてのし袋にもあった風合いですので、一つあると大変便利です。

氏名印

1行印と同様の仕様で、その名のとおり氏名が入ります。従業員の氏名などサイズをそろえて作成しておけば、手書きや、テプラ、印刷などの手間が省けるので使えるシーンは意外に多く、とても便利なゴム印です。
会社だけれなく、学校や幼稚園・保育園の日常業務などでもよく使われているゴム印です。ある程度の人数の団体や組織では作っておいて損はないのではないでしょうか。

データ印

データ印はまたの名を回転式日付印といい、日付が入るはんこです。日付以外にも、受領・領収・FAX済・検査済など作業の内容を表す単語や、確認者の名前を入れて使用するのが一般的です。本体の柄の部分を持ちながら横のネジを押し上げると日付部分が奥に入り、ネジをくるくる回すと日付部分を変えられる仕組みになっています。日付部分は西暦(和暦にも対応)年月日など全て変更可能です。

円形のタイプまたは楕円形のタイプで、幅は小さいものは4号14mmから、大きいものは12号の36mmのタイプまであります。楕円形のタイプであれば、最大幅16号48mmタイプまであります。

枠付きゴム印

はんこは文字だけでなく、枠も入れられます。一般的なものでいえば、作業が済んだことを知らせるための「済」印など丸く枠が入っているタイプはもちろんのこと、マス目状の枠などの作成も可能です。丸いタイプであれば、6mmから18mmのタイプがあります。

ゴム印の使用できる書類

さまざまな用途に使用できるゴム印は、主に手書きの負担を軽減させるために活用されています。会社においては、以下のような書類にゴム印が使用されるケースが多いです。

  • 手形や小切手
  • 契約書
  • 請求書
  • 領収書
  • 社内文書(通達・連絡)
  • 封筒
  • 検収印
  • 受領印 など

ゴム印はつづりタイプの領収書のような、プリントができない書類にも押せるので非常に便利です。誰が押しても同じ文面を記載できるので、記載ミス防止にも役立ちます。ただし、インクを弾いてしまう用紙には使えないので、上手に使い分けするとよいでしょう。

ゴム印の作成方法・サイズ

ゴム印を作成できるお店には、印鑑専門店や印鑑のネット通販などがあります。注文方法はかんたんで、刻印したい内容や書体などを決めて注文フォームに入力するだけです。ゴム印の作成方法と注文までの流れをご紹介します。

1.ゴム印のサイズを選ぶ

ゴム印のサイズは1つの種類につき複数用意されているので、刻印する文字数に合ったサイズを選びましょう。毎日繰り返し使うゴム印なら、持ちやすさで選ぶのもおすすめです。参考までに、各種ゴム印のサイズをご紹介します。

  • 宛名印‥2行:幅6.5cm〜7.5cm、3行:幅7cm
  • 親子印‥3枚:幅6cm
  • 住所印‥2行〜4行:幅5.5cm、5行:幅6cm
  • 角印‥1辺15mm〜30mm
  • データ印‥4号丸型14mm、5号丸型15mm
  • 氏名印‥1行:幅2.5cm〜3cm

2.素材選び

ゴム印の多くは、本体(柄)の部分の素材を選ぶことができます。使用される素材はのべ木製やプラスチック、アクリルなどが一般的です。ゴム印の使用用途に合わせて握りやすい形状のものや、収納しやすさなどを考えて選んでみてください。

3.書体を決める

ゴム印の素材を選んだら、次に刻印する文字の書体を決めていきます。ゴム印の種類にもよりますが、書体はいくつかの書体から選べるのがほとんどです。明朝体・楷書体・ゴシック体・丸ゴシック体・行書体など一般的な書体が用意されているので、ゴム印の用途に合わせて選びましょう。刻印内容が2行以上になる場合は、行ごとに書体を変えることもできます。

4.刻印内容を決める

住所印なら会社の住所、氏名印なら従業員の名前など、ゴム印に印字する内容を決めて注文フォームに入力します。たとえば住所印を作成するなら、以下の情報から刻印する内容を選んで作成するのが一般的です。

  • 郵便番号
  • 住所
  • 会社名
  • 代表者名
  • 電話番号
  • FAX番号
  • ホームページのURL など

5.注文する

注文フォームに必要な情報を入力したら、最後に校正の確認を依頼するか否かを選んで注文を完了させます。校正の確認を依頼するとそのぶん発注までに時間はかかりますが、誤字脱字による作成ミスを防げるので安心です。発注を急ぎたいという場合は、刻印する内容がシンプルであれば校正の確認は依頼しなくてもよいでしょう。ただし、注文する前に誤字脱字がないか必ずチェックしてください。

ゴム印に関するよくある質問

ゴム印作成に関する、よくある質問をご紹介します。

Q:ゴム印と印鑑の違いはなんですか?

ゴム印は印面がゴム製の素材でできているのに対して、印鑑はチタンや象牙など硬い素材を彫って作られています。ゴム印はスタンプ台を使用すること、印鑑は朱肉を使用するという点も大きな違いです。

Q:ゴム印を実印や銀行印に使えますか?

ゴム印でできた社判を、代表者印(法人実印・役職印)として使うことはできません。代表者印は法務局に登記する重要な印鑑ですので、耐久性に優れた印鑑で作成しましょう。また、銀行印は印面が劣化する可能性のある印鑑は登録できないので、ゴム印では登録できません。

Q:ゴム印は変形しますか?
ゴム印は印面がゴム製でできているため、使用し続けると変形などの劣化がみられます。また、ゴム印は油分を含む朱肉を使うと劣化の原因になるので、押印する際は水性のスタンプ台を使用しましょう。

Q:ゴム印が汚れたらどうすればいいですか?
ゴム印は使用すればするほど印面が汚れていくので、定期的にティッシュなどで軽く拭いて掃除しましょう。強くこすると印面が傷むので気をつけてください。

Q:ゴム印を作成するのにどれくらいの日数がかかりますか?
ゴム印の作成にかかる日数は、実店舗もネット通販も即日〜数日後とお店によって異なります。どちらかといえばネット通販のほうが即日発送に対応しているお店が多いので、急ぎでゴム印が必要な場合はネット通販を選ぶとよいかもしれません。

なかには実店舗でも即日対応しているお店もあるので、急ぎの場合は一度店員に相談することをおすすめします。

まとめ

ゴム印についてその概要や種類、使用上の注意点などをご紹介しました。ゴム印といっても会社によって通称で呼んでいる場合もあります。角印なのか、データ印なのか、ゴム印なのかこれまであまり気にすることなくなんとなく使っていたという方も多いのではないでしょうか。この記事を機にはんこの違いを理解して便利に使い分けできれば幸いです。

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