企業や団体など組織を運営するうえで欠かせない法人印鑑は、印面のイメージを左右する書体選びが肝心です。しかし印鑑の書体にはあまり馴染みがなく何を選べばよいかお困りの方も多いことでしょう。
まずは法人印鑑についての基礎的な知識と、法人印鑑におすすめの書体の種類や特徴をご紹介いたします。法人印鑑を作成する際の参考にしてください。
法人印鑑についての基礎知識
法人印鑑には、会社の実印ともいわれる「代表者印(丸印)」、銀行の手続きのための「銀行印」、使用頻度の高い「角印(社印)」、住所などの連絡先を押印できる「住所印」があります。企業や団体を開業後には、この4つの印鑑をセットで準備するよいでしょう。
【法人印鑑】実印・代表者印(役職印・丸印)
代表者印は、会社の代表者の印鑑です。会社を設立する際には、法務局へ登記を行う必要がありますが、その際に代表者印が実印として登録されます。
印面には、「○○株式会社 代表取締役之印」など、社名と会社の代表者の役職、最後に「之印」と彫ることが一般的です。
印面のサイズは、10mm〜30mmに収まる大きさで、社名の文字数にもよりますが18mmで作るのが一般的です。形状は丸型で印影は二重丸のデザインです。
代表者印は、役職名が入っているため「役職印」と呼ばれたり、丸い形状のため「丸印」と呼ばれたり、呼び名がいくつかあります。
代表者印の使用用途は、会社の取引など重要な書類に実印として押印するものです。
【法人印鑑】銀行印
銀行印は、銀行を開設する際に登録する印鑑です。取引や給与の支払いなどで、銀行の開設は必須になります。そのため専用の印鑑を用意しましょう。
印面には、「○○株式会社 銀行之印」と掘ります。
印面のサイズは、代表者印よりも一回り小さく作るのが一般的で、代表者印を18mmで作っていれば、16.5mmで作るとよいでしょう。
銀行印の使用用途は、口座開設のほかに、預金の引き出しなどに使用します。
【法人印鑑】角印(社印)
角印(社印)は、会社のさまざまな書類のやりとりで使用されます。
印面には、「○○株式会社之印」と彫るのが一般的で、社名だけの場合もあり、文字数や印面のバランスに合わせて配字や「印」や「之印」を付け足します。
印面のサイズは、24mm角が一般的で、形状は角形です。代表者印は丸印と略され、社印は通称「角印」と呼ばれることが多いです。
角印の使用用途は、請求書や領収書といった日常的に発生する書類に使用されます。
【法人印鑑】住所印
法人印鑑には、基本となる代表社印や銀行印、社印のほかにも、住所印を作っておくと便利です。
住所印とは、社名・住所・電話番号などを押印できる印鑑で、手書きの領収書や、封筒などに使用します。
住所印には一体型のほかに、内容の順番を組み替えられるタイプもあります。
今年は社名や住所に加えて、インボイス登録番号を入れるパターンが増えています。必要な項目を自由に組み合わせて押印できる「親子印」や「シャチハタ組み合わせ印」が便利です。
印鑑書体とは
印鑑の書体には数種類が使用されています。印鑑の書体は、印影の判別が可能であり、照合ができる機能を持ち合わせていれば、どれを選んでも問題はありません。
とはいえ、それぞれに適した書体があります。例えば、「代表者印や銀行印には、複製されにくい書体」「使用頻度の高い社印は、読みやすい書体」と、区別することが一般的です。
法人印鑑におすすめの書体3選
ここでは法人印鑑の書体におすすめの種類について3つご紹介いたします。書体ごとに特徴が異なります。
篆書体(てんしょたい)
篆書体は人気の高い書体で、印鑑の書体の定番としてよく使用されます。法人印鑑では最もよく見る書体のひとつです。日本の歴史においても古くから使用されており、現在でもお札の印影に使われています。
篆書体は、水平・垂直の線で左右に対称性を持たせているのが特徴です。文字の太さは均一に表現され、角は丸みを帯びています。一見しただけでは読めない書体であり、複製もされにくいため、法人印鑑のみならず、個人の実印や銀行印にもよく使用されます。
印相体(いんそうたい)
印相体は篆書体をアレンジした書体です。印鑑のために作られており、印影の枠に文字の線がくっつくように伸ばしたり曲げたりしたデザインです。篆書体よりも線が太く、余白部分が少ないのが特徴で、枠や文字の線が欠けてしまうことを防ぐ効果もあります。
篆書体よりもさらに解読が難しい書体になります。
古印体(こいんたい)
古印体は日本独自の書体であり、読みやすさがあります。線が不均一に途中で切れたようなデザインです。字が読みやすさく、汎用性の高い書体です。
印鑑書体と一緒に選びたい法人印鑑の素材
法人印鑑は、書体だけではなく印鑑の素材にもこだわってみてはいかがでしょうか。長く使用できるよう、耐久性の良い素材がおすすめです。破損や経年劣化などによって印影が変わってしまうと実印や銀行印として機能しなくなり、作り直しや再登録などの措置が必要になります。法人印鑑におすすめの素材をご紹介します。
本象牙
希少性の高い象牙は、印鑑の王様と呼ばれており、押印のしやすさや耐久性にも非常に優れた特徴を持っています。
黒水牛
黒水牛は、水牛の角を使用しています。漆黒で重厚感や存在感のある印材です。
本柘
本柘は木材の中でも、高密度なため強度が非常に高く、耐久性にも優れています。長年使用することで、木材らしい艶がでるため、風合いの変化を楽しめます。
チタン
チタンは金属の中でも、硬質で錆びにくいといった特徴があり、半永久的に使用できる高品質な印材です。シルバー・ゴールド。ブラックなどカラーバリエーションも豊富にあり、スタイリッシュなデザインで人気です。
まとめ
以上、法人印鑑の基本的な知識から、おすすめの書体についてご紹介しました。また書体の検討と一緒にぜひ素材にもこだわっていただけるよう、耐久性が高い印鑑のおすすめの素材についてもご紹介させていただきました。
法人印鑑は、代表者印・銀行印・社印・住所印とセットで作成するのがおすすめです。書体や素材にこだわって作成すれば、さらに愛着を持って長年使用できるようになります。