実印作成の際に押さえておきたいポイントについて解説

重要な契約を結ぶときに必要になる「実印」は、1人に1本のとても大事な印鑑です。そのため実印を作るときにはいくつかのポイントを押さえておかないと、ご自身の納得のいく印鑑を作成できないかもしれません。
そこで、本記事では実印を作成する際に押さえておきたいポイントをはじめ、印鑑登録までの流れを解説します。

実印を作成する方法と印鑑登録までの流れ

実印は印鑑登録を済ませた印鑑のことを指すため、必ず市区町村への印鑑登録が必要になります。実印を作成する方法と、印鑑登録の流れをみていきましょう。

実印とはどんな印鑑?

実印とは、市区町村の役所で印鑑登録をした印鑑のことを指します。
自動車を購入するときやローンを契約するときなど、確実に本人が押印する必要のある書類に使用する印鑑です。
実印は個人が持つ印鑑のなかで最も効力のある印鑑ですが、印鑑登録をしない限り効力を持ちません。そのため、実印が必要になったときは印鑑を用意するだけでなく、必ず市区町村役場で印鑑登録申請をおこなう必要があります。

印鑑登録できる印鑑の条件

実印として利用できる印鑑はどれでもいいわけではなく、市区町村ごとに印鑑登録できる印鑑の条件が決められています。条件に合った印鑑を作成しないと作り直しになってしまうので、あらかじめ住民票のある市区町村のホームページなどで確認しておきましょう。印鑑登録できる印鑑の条件は、以下を参考にしてみてください。

  • 印影の大きさは8.0mm〜25.0mm
  • 住民基本台帳に記録されている氏名で作成した印鑑
  • 印影にフチがあり欠けていない
  • 印影が鮮明
  • 変形しない素材の印鑑
  • これまでに一度も印鑑登録をしていない印鑑
  • 氏名以外なにも刻印されていない印鑑

なお、シャチハタと呼ばれるスタンプ式の印鑑は、印面がゴムでできているため印影が変形しやすく、印鑑登録はできません。また、100円ショップなどで購入できる三文判は印鑑登録できる場合もありますが、既製品のため印影を偽造されやすいので実印には不向きです。

印鑑作成から印鑑登録までの流れ

実印として使用する印鑑を作成するところから、印鑑登録までの大まかな流れをご紹介します。

印鑑を購入する場所を決める

実印は名前が変わらない限り一生使う印鑑ですので、耐久性に優れた質のよい印鑑を購入したいものです。購入先としては実店舗のある印鑑専門店や、印鑑専門のネット通販を利用するのがよいでしょう。

実店舗のある印鑑専門店なら店員に相談しながら購入できるうえ、実際の印材に触れられるので納得のいく印鑑を作成できます。店舗に足を運ぶ時間がない場合には、印鑑のネット通販が便利です。

印材やサイズを決める

印鑑登録できる印鑑の条件のひとつとして、印影の大きさは8.0mm〜25.0mmと決められています。これ以上でも以下でも実印として登録できないので、まずは印鑑のサイズを決めておきましょう。
そして、実印の印鑑を作成するうえで大切なのは印鑑の耐久性です。劣化により印影が変わったりヒビが入ったりすると、印鑑を再作成して改印届をおこなわなければなりません。チタンや象牙など、丈夫な印材で作成することをおすすめします。

象牙|実印の素材
象牙
チタン|実印の素材
チタン
オランダ水牛|実印の素材
オランダ水牛
黒水牛|実印の素材
黒水牛
本柘|実印の素材
本柘

刻印内容を決める

実印に刻印する内容は、フルネーム・苗字のみ・名前のみのいずれでも問題ありません。実際には男女ともにフルネームを刻印する方が多く、印鑑の偽造リスクのことを考えてもフルネームで作成するのがおすすめです。ただし、女性は結婚や離婚で苗字が変わることがあるので、名前のみで作成する方もいます。
なお、実印は印面に氏名以外が刻印されていると登録できないので、記号や柄などは刻印しないようにしてください。

印相体|認印の書体印相体(縦)
篆書体|認印の書体篆書体(縦)
古印体|認印の書体古印体(縦)
楷書体|認印の書体楷書体(縦)
行書体|認印の書体行書体(縦)

市区町村役場で印鑑登録申請書を記入する

印鑑が完成したら、住民票のある市区町村役場で印鑑登録申請をおこないます。窓口に印鑑登録申請書がありますので、必要事項を記載して登録する印鑑を申請書に押印してください。なお、印鑑登録には免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの身分証明証と手数料が必要になります。手数料は地方自治体によって異なりますが、200円〜500円程度が目安です。

印鑑登録カードを受け取る

印鑑登録が済むと印鑑登録カードが発行されるので、受け取ったら実印同様に大切に保管しておきましょう。印鑑登録カードは、印鑑証明書の交付を請求する際に使用します。最近ではマイナンバーカードを代替として使用できるようにもなっています。

ポイント1:実印に適した書体と彫刻方法を選ぶ

実印を作成するポイントのひとつめは、実印に適した書体と彫刻方法を選ぶことです。偽造のリスクを低くするために、実印の印影は複雑なほうがよいとされています。

実印に適した書体

実印に刻印する書体に規定はありませんが、偽造されにくい書体を選ぶことがポイントになります。実印は重要な契約を結ぶ際に本人証明として使うため、かんたんに偽造されると非常に危険です。そのため、書体はやや読みづらいものが適しており、篆書体や印相体などを選ぶのがよいでしょう。ただし、複雑すぎて読めないような書体は、印鑑登録できない可能性があるので注意してください。
なお、認印などに用いられる古印体や楷書体、行書体などは読みやすい一方で、印影を偽造されるリスクが高いです。実印には、かんたんにマネできない書体を用いて作成しましょう。

実印には、印相体や篆書体がおすすめです。

実印に適した彫刻方法

印鑑の彫刻方法は大きく分けて、完全手彫り・手仕上げ・機械彫りの3種類があります。完全手彫りと手仕上げは職人の手で彫刻する印鑑なので、印影が美しく仕上がり、また印影がほかの印鑑と同じになる心配がなく、偽造のリスクを下げられます。ですので、実印に適していく彫刻方法は、完全手彫りまたは手仕上げです。

完全手彫り
すべての工程を手作業で仕上げる彫刻方法です。同じ印影はひとつとして存在しないので、偽造リスクが低く実印に向いています。はんこ屋さん21の手彫り印鑑は伝統工芸士が彫刻しており仕上がりの美しい唯一無二の印鑑として、満足して持っていただけます。

手仕上げ
荒彫りまで機械で仕上げ、最終的な仕上げは手作業でおこなう彫刻方法です。画一的な書体ではありますが、人の手が加わることにより印影を偽造されにくくなります。

機械彫り
すべての工程を機械で仕上げる彫刻方法です。大量生産される三文判に用いられる彫刻方法のため、同じ印影の印鑑が存在するリスクがあります。認印にはおすすめですが、実印には不向きな彫り方です。

ポイント2:規定の範囲内のサイズと適した形を選ぶ

実印を作成するポイントのふたつめは、実印に適したサイズと形で印鑑を作成することです。実印には規定のサイズがあるため、これをクリアしなければ印鑑登録できないので注意しましょう。

実印の規定サイズ

印鑑登録できる実印のサイズは最低8mm以上、最大25mm四方以内に収まらないことが条件です。このサイズより小すぎても大きすぎても登録できないので、実印用の印鑑を作成する際は注意しましょう。
実印用の印鑑のサイズは男性・女性で異なり、男性向けの実印のほうが女性向けよりやや大きくなります。また、実印はほかの印鑑と見分けをつけるために、銀行印や認印よりも大きいサイズで作るのが一般的です。実印のサイズは以下を参考にしてみてください。

男性向けの実印‥15.0mm〜18.0mm
女性向けの実印‥13.5mm〜15.0mm

実印に適した印影の形

一般的に実印の印影の形は丸で作成しますが、実印の形について法的な決まりはありません。したがって、実印の規定サイズの範囲内であれば、実印を四角で作成しても印鑑登録は可能です。
ただし、地方自治体によって印鑑登録できる印鑑の条件は多少違いがあるので、お住まいの地域で四角の印鑑が登録できるか確認しておくことをおすすめします。

ポイント3:実印購入に適した場所で買う

名前が変わらない限り一生使うことになる実印は、長期間使用しても印影が変わらない丈夫さが必要です。実印を購入するなら、印鑑専門店で作成するのが確実といえるでしょう。

印鑑専門店

実店舗のある印鑑専門店は実印作成に慣れているので、わからないことがあれば相談にのってくれ安心です。また、印材や書体のサンプルを実際に見ながら決められるので、納得のいく印鑑が作りやすいのがメリットです。在庫があればすぐに彫刻ができるので、数時間で印鑑が完成することもあります。

印鑑のネット通販

印鑑専門店に次いで実印の購入場所としておすすめなのは、印鑑のネット通販です。ネット通販の最大のメリットは、店舗に足を運ぶ必要がなく、また価格が比較的安いことでしょう。
ただし、実店舗のように店員はいないので、わからないことがあれば自分で調べなければなりません。実際に印材を見たり触れたりできないので、想像と違う印鑑に仕上がる可能性があります。

まとめ

実印は個人が持つ印鑑のなかで最も効力のある印鑑です。大きなお金を動かすときや大事な契約を結ぶときに使う印鑑ですので、質がよく丈夫な印鑑を作成しましょう。今回ご紹介した印鑑登録できる印鑑の条件は、お住まいの地域によって異なる場合があります。実印を作成する前に、お住まいの地方自治体のホームページなどで印鑑登録できる印鑑の条件を必ず確認してください。

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