消印について疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
消印とは、切手や収入印紙がすでに使用されたことを証明するための印鑑です。切手に対しては、通常は郵便局が押印いたしますが、お客様の業務内容によってはご自身で押印しなければならないこともございます。適切に消印を行えるよう、消印についての知識を持っておくことはとても大切です。今回は、消印についてご紹介させていただきます。
消印の目的
消印には、主に以下の目的があります。
- 切手の再利用を防ぐため
- 収入印紙の再利用を防ぐため
それぞれ詳しく解説します。
切手の再利用を防ぐため
切手に消印をすることで、使用済みであることを証明する効果があります。
しかし、用途によっては消印が有効な日付が定められていることもあります。
例えば、抽選や願書の郵送応募時に「12月31日当日消印有効」と表記されている場合は、12月21日までに消印がされていれば、相手に郵送物が届いていなくても有効であるという意味です。
しかし、「12月31日必着」と表記されている場合は、12月31日までに郵送物が相手に到着していなければならないことを意味します。当日消印有効と必着を間違えると、トラブルが発生するおそれがあるので注意しましょう。
収入印紙の再利用を防ぐため
消印は、収入印紙の再利用を防ぐためにも使用されます。
法律で定められた以下のような文書に対しては、印紙税を納付する必要があります。
- 注文請書
- 工事請負契約書
- 不動産売買契約書
- 金銭消費者賃借契約書 など
印紙税を納付するには課税文書に収入印紙を添付する必要がありますが、ただ添付するだけでは納税したことになりません。収入印紙の再利用を防ぐために、収入印紙に消印をすることが印紙税法で定められています。
消印をしていないことが税務調査時に指摘されると、本来納税が必要だった印紙税の3倍が過怠税として課されるので注意しましょう。
消印を押す場面
消印は、以下のような切手や収入印紙が使用済みだと示す場面で押します。
- 契約書に収入印紙が貼られているとき
- 領収書に収入印紙が貼られているとき
- 手形に収入印紙が貼られているとき
- ハガキや封筒に切手が貼られているとき など
切手と収入印紙の見た目は似ていますが、実際はまったく違うものです。
切手は郵便料金を前払いしたことを証明するためのもので、収入印紙は印紙税の支払いを証明するために使われます。
消印の基本的な押し方
切手や収入印紙が使用済みであることを示せればよいため、文書に使用した印鑑以外でも消印は有効です。日付印やシャチハタはもちろん、屋号の入った角印でも消印できます。印鑑がない場合は、ボールペンなどで署名しても消印が成立します。消印であると示すためには、印紙と文書にまたがるように印を付けることが必須です。
しかし、以下の方法で記した消印は無効になります。
- 鉛筆やシャーペンなどの簡単に文字を消せるもので消印をした
- 斜線や二重線だけを書いた
- 丸の中に印と書く丸印だけを書いた
書く形で消印する場合は、消えにくいボールペンなどを使って署名することで成立すると覚えましょう。
書類別に消印を押す方法
書類の中でも消印をする機会が多い、契約書と領収書の消印の押し方を紹介します。
誰が押すべきかなども解説しているので、しっかり確認しましょう。
契約書
契約書に消印をする際は、文書の作成者や代理人の印鑑を使って押します。
複数人で一つの契約書を作成した場合は、作成者のうち一人が消印するだけでも成立します。そのため、契約書の作成に携わった全員が消印を押す必要はありません。
収入印紙は、一般的には契約書の左上のスペースに貼ります。貼る場所に関しては特に厳しいルールもないため、契約を結んだ双方で相談して決めても問題ありません。消印をする際は、文書と収入印紙の模様部分にまたがるように押します。
領収書
領収書への消印は、一般的には店舗の従業員や使用人が自分の印鑑を使って押します。
飲食店などで支払代金が5万円以上になると、領収書やレシートに収入印紙を貼る必要がありますが、受け取る側が消印をする必要はありません。
収入印紙は、基本的に領収書の貼り付け欄に貼り付けます。貼り付け欄がなければ、空いているスペースに貼り付けましょう。消印をする際は、領収書と収入印紙の模様部分にまたがるように押します。
消印についてよくある質問
消印についてよくある質問を回答形式で紹介します。
- 消印に適した印鑑は?
- 消印の押印でミスしたときは?
それぞれ詳しく解説します。
消印に適した印鑑は?
「消印はこの印鑑で押さなければいけない」というルールはありません。
次のようなもので消印ができます。
- 認印
- 三文判
- シャチハタ
- 日付印
- 角印
実印でも消印はできますが、不正利用のおそれがあるため重要な印鑑は使わないようにするとよいでしょう。
印鑑がない場合は、署名でも消印ができます。しかし、鉛筆やシャーペンなどの後から消せるペンで消印をした場合は無効です。ボールペンのような、消すのが難しいもので署名しましょう。
ペンを使った消印は署名のみが有効であり、線や印を書いただけのものは消印として認められません。署名がないことで、誰が消印したのかが分からないためです。
消印した人が分かるよう、読みやすい文字で署名しましょう。
消印の押印でミスしたときは?
消印の押印でミスしたときは、印影が被らないように別の場所で消印をやり直します。
具体的には、次の方法でやり直すことが可能です。
- 間違えた消印に二重線を引き、訂正印を間違えた印影にかぶせて押す
- 余白部分に消印を押し直す
以下の方法でもやり直すことができます。
- 間違えた消印の上に少し重ねて同じ印鑑を押し、間違えた消印を無効にする
- 余白部分に消印を押し直す
印影が不鮮明だと消印として認められないおそれもあるので、ハッキリと押せなかった場合はやり直しましょう。
同じ箇所に消印するとぼやけてしまうので、消印を無効にしてから再度押すことが大切です。
まとめ
消印は、切手や収入印紙の再利用を防ぐための印です。
契約書に収入印紙が貼られているときやハガキに切手が貼られているときなど、さまざまな場面で使用します。
消印は印鑑だけでなくペンでも記すことが可能です。ペンで記す場合は、消えにくいペンで署名をすると消印として認められます。
消印を間違えてしまった場合は、間違えた消印を無効にし、適切な部分に再度押し直してください。
消印に関するQ&A
消印って何のために押すの?
切手や収入印紙がもう使われたものだと示すためです。再利用を防ぐ大切な役割があります。
どんな時に消印が必要なの?
切手をハガキや封筒に貼った時や、契約書や領収書に収入印紙を貼った時などです。
どうやって消印を押せばいいの?
印鑑でも、ボールペンで名前を書いても大丈夫です。切手や収入印紙と書類にまたがるように押す(または書く)のがルールです。
間違った押し方はある?
鉛筆やシャーペンで消せるように書いたり、線だけ書いたりするのは無効です。ボールペンでしっかり署名しましょう。
押し間違えた時はどうすればいい?
間違えた印に二重線を引いて訂正印を押すか、別の場所に押し直しましょう。同じ場所に重ねて押すと見にくくなるので注意が必要です。