実印をいざ作ろうとしたとき、「結婚して姓が変わると面倒だから名前だけで作りたい」「フルネームじゃないといけない?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃることでなないでしょうか。
実印は重要な契約などを交わす際に必要となる大切な印鑑です。実印は名前だけでも作成が可能かどうか、実印の重要性や、近年の傾向も踏まえて解説していきます。
実印は名前だけでも印鑑登録ができる
結論から説明すると、名前だけでも実印を作ることは可能です。ただし、印鑑登録をする自治体によって条件が異なるため、事前に自治体の担当窓口にご確認ください。
実印とは?
実印とは、役所に届け出て登録している印鑑のことを指します。実印用に印鑑を作成しても、役所に届け出ていなければ、実印とはみなされません。
実印は、土地売買や賃貸住宅の契約、生命保険の加入など、重要な書類のやりとりに使用されるものです。実印は、法的にも効力を発揮するものですので、実印を押印しなければならないシーンでは、十分に責任や重要性を理解したうえで、手続きを進める必要があります。
そのため、簡単に購入できたり複製できたりする印鑑は避けたほうがよいとされています。
認印との役割との違い
認印は、やりとりの発生頻度が比較的高い内容に対して、押印する印鑑です。会社内であれば、書類の確認や受領した際などに使用したり、家庭内であれば、荷物の受け取りなどに使用したり、そこまで責任の重要性は高くないやりとりに使用することが一般的です。とくにご家庭では、一つの認印を家族みんなで使っていることもありますが、実印は個人名で登録するため、たとえ夫婦であっても流用することはできません。
実印の印鑑証明
実印は役所に届け出て初めて実印となります。重要なやりとりで実印の押印を求められた場合には、同時に印鑑証明の提出を求められるケースが多いです。
印鑑証明とは、役所に登録した実印が本物であることを証明するための書類です。印鑑証明がなければ、第三者にとっては、実印か認印かの判断がつきません。そのため、印鑑証明が必要となるケースもあるのです。
印鑑の登録手順とは?
実印を作成して印鑑登録するルールや手順についてご紹介します。
印鑑登録の方法
印鑑登録は、住民登録をしている市区町村の役所にて行い、15歳以上の方が登録可能です。
登録するための実印とマイナンバーカードや免許証などの身分証明書を窓口に持参すれば、登録が可能です。また代理人が手続きすることもできます。
印鑑登録の条件は自治体によって一部異なる
実印を作成する場合には、基本的には、フルネームや苗字のみ、名前のみでも印鑑登録が行えます。住民基本台帳に記録されている、氏名・氏・名、旧氏・旧氏名で登録が可能です。
自治体により、印鑑証明に関して記載されている条件が若干異なる部分もあり、注意が必要です。
登録できない条件の一例
登録できない条件の一例です。(自治体によって異なります。)
- ゴム印など変形しやすい印鑑
- 印面が破損している
- 氏名の漢字・ひらがな・カタカナを書き換えたもの
- ニックネームや商号などが入っている
- 外径がない
実印はフルネームにするべき?
実印をフルネームで作るメリット、印鑑登録の法令についてご紹介します。
フルネームの実印を作るメリット
フルネームで実印を作るメリットとしては、セキュリティ面の向上があげられます。氏や名前だけよりも画数が多くなるため、印影が複雑なデザインになります。実印は複製されにくいことが大切なポイントであるため、フルネームのほうが安心だといえます。
また苗字だけの場合、家族の誰かの実印と区別がつきにくかったり、認印と誤って使用したりといった懸念点も考えられます。
旧姓でも印鑑登録可能に
旧姓での印鑑登録が可能となった法改正によって、作り変えないといけないといった心配も必要ではなくなってきています。
2019年11月5日より、日本政府により旧姓の印鑑でも、印鑑登録をできるようにする内容の法改正が行われ、条例改正の対応を行った地方自治体では、旧姓でも印鑑登録が可能となっています。
女性は結婚すると姓が変わるため、結婚後も実印をそのまま使えるようにと名前だけで作成するケースが一般的でした。
しかしながら、現在では女性の社会進出も当たり前のようになり、フルネームで作る方も増えています。また旧姓でも印鑑登録が可能となる法改正も、時代に合わせた内容に即しているといえます。
実印におすすめのサイズ
実印は一般的には、13.5mm・15mm・18mmのサイズが定番のサイズです。
定番サイズの中から、妻は夫よりも一回り小さいサイズで実印を作るという慣習もありましたが、近年は多様性の価値観の広まりと共に、気にすることが少なくなっています。
サイズを選ぶポイントは、認印よりも銀行印、銀行印よりも実印が大きいサイズになるように、お手持ちの認印と銀行印のサイズを確認して、それよりも大きいサイズで作ります。
手の大きさによって印鑑の握りやすい太さも異なるため、しっくりくるものを選べばよいでしょう。
まとめ
結婚によって姓が変わる可能性を考慮して、女性は名前だけで作るという慣習がありましたが、近年ではフルネームで作るケースが当たり前になってきています。旧姓でも印鑑登録が可能となるため、懸念点もなくなっています。
しかし実印を名前で作りたいと考える事情は、人それぞれあるでしょう。基本的には名前だけでも登録が可能ですが、自治体によっては登録できない可能性もあるため、事前に確認するようにしましょう。