契約書の正しい訂正方法とは?

ビジネスや法的手続きでは、契約書など重要書類の記載内容を訂正しなければならない場面も少なくありません。契約書の訂正は、適切な訂正方法で、誰でもわかるように訂正することが大切です。しかし、契約書を訂正する手段はいくつかあり、どの方法が適切か悩んでしまうこともあるでしょう。この記事では、契約書や重要書類の正しい訂正方法ついて詳しく解説します。
この記事を読むことで、訂正印や捨印を使用する際の注意点や、複数人が記名・押印した場合の対処方法などがわかり、ビジネスや法的手続きにおいても、自信を持って対応することができるでしょう。

契約書の正しい訂正方法

契約書の正しい訂正方法の中には、訂正印を使った方法と捨印を使った方法があります。どちらの方法を選択する場合でも、訂正箇所が複数人によって記名・押印されている場合は、全員分の訂正印を用意する必要があります。
また、電子契約の場合は訂正印・捨印が使用できないため、変更(修正)覚書を作成するか、新しい内容の契約書を作成して締結しましょう。

訂正印を使った訂正方法

訂正印を使う場合は、誤りの部分を二重線で消し、その近くに正しい内容を記載します。たとえば、契約書の文言の漢字が間違っている場合は、誤りの文字に二重線を引き、正しい文字を記入します。なるべく訂正した箇所の近くに訂正印を押すことで、訂正が明確になります。

捨印を使った訂正方法

捨印を使った方法では、契約書の余白部分にあらかじめ印鑑を押しておきます。誤りが見つかった場合に、その捨印を訂正印として利用できます。訂正箇所に「〇〇字削除」や「〇〇字加筆」のように記載し、捨印のすぐ隣に記入します。
捨印は訂正印と同じ役割を果たしますが、悪用されるリスクがあるため、契約書のコピーをとって保管しておきましょう。事前に原本を保管しておくことで、無断で内容を変えられても対応できます。
捨印を使った訂正方法においては、押す時の注意点を理解しておくことが重要です。捨印は記名・押印に使用した印鑑と同じものを使いましょう。

契約書を訂正する際の注意点

契約書には、取引の条件や約束事が明記されています。ビジネスを進めるにあたり、一度決めた契約内容を変更するほか、契約書の訂正が必要になる場合があります。契約書には重要な情報が含まれているため、訂正を行う際には、以下の点に注意して、慎重に行うようにしましょう。

捨印の場合は勝手に訂正されないよう、コピーをとっておく。

捨印を使った訂正方法は、不正な訂正や改ざんが行われる可能性があります。契約書の余白部分にあらかじめ印鑑を押しておき、捨印を訂正印として利用できるためです。
訂正箇所があれば、予め押印してある印鑑を使って訂正してよいという方法なので、第三者がその捨印を利用して契約内容を勝手に変更し、不利益な条件を追加することもできてしまいます。
捨印の使用は、既に取引関係があるなど信頼できる相手との契約に限定し、捨印の押された文書の取り扱いに十分気を配ることが大切です。また、不正な訂正がされた場合に備えて、契約書のコピーを保管しておきましょう。

訂正は「簡単な訂正」しかできない

契約書で訂正が認められるのは、簡単な訂正だけです。簡単な訂正とは、誤字脱字や数字の修正など、小さな修正を指します。契約内容をまったく違う内容に変える場合は、簡単な訂正とはいえません。
契約書の内容を大幅に変更する場合は、新しい契約書を作成する必要があります。

訂正印と捨印は記名・押印に使用した印鑑と同じものを使用する

訂正印と捨印に使用する印鑑は、記名・押印に使用した印鑑と同じものを使用することが望ましいでしょう。訂正が当事者によって行われたことが明確になり、トラブルを防げます。

複数人が記名・押印した場合は訂正印も全員分用意する

複数人が契約書に記名・押印した契約書を訂正する場合、訂正印も書面に同意した人数分が必要です。訂正内容について全員が合意していることが確認でき、後でトラブルが起きる可能性を減らすことができるからです。したがって、訂正する際は必ず全員分の訂正印を用意するようにしましょう。

電子契約の場合は覚書を作成する

電子契約の場合は、契約書を印刷して訂正することが難しかく、訂正印が押せない場合があります。訂正した内容がわかるようにしておくために、覚書を作成することをおすすめします。訂正した内容の合意が明確になり、トラブルを防げます。

契約書の訂正に関する様々な疑問と注意点

ここでは、契約書の訂正に関するよくある疑問や注意点について、詳しく解説していきます。

契約書に訂正できない箇所はある?

契約書に訂正できない箇所はありません。簡単な訂正であれば、ほとんどの箇所は訂正印・捨印の方法で訂正できます。署名や捺印が済んでいたとしても、お互いの合意のもとで、項目の加筆、削除、変更などができます。
訂正前の内容が分かるようにしたうえで、その訂正を互いに承認した証として、契約書に署名することが一般的です。契約内容を大きく違うものにして、項目の追加などを行う場合は、覚書や変更契約書を交わしましょう。

訂正印として使用する印鑑は何でもいい?

訂正に用いる印鑑は、契約書に捺印したときと同じものと使用することが望ましいです。訂正印は誰がどのように訂正したかを証明するものであり、契約者本人が訂正を行ったことを証明するためにも、契約書に押印した印鑑と同じ印鑑を使用することが重要です。

訂正印はシャチハタ(ネーム印)でもいい?

訂正印として使用する印鑑は、契約書に押した印鑑と同一の印影であることが必要です。したがって、銀行印や実印を押した重要書類の訂正の場合は、シャチハタは使えません。ただし、誤字脱字などの軽微な修正であれば、シャチハタ(ネーム印)を使用することもできます。
シャチハタは構造上、連続で押印できますが、印面がゴム製で耐久力がないため、印影が変わってしまうことがあります。印影が変わると本人を証明できません。
また、手で彫られたものではないため、同一の印面が存在します。こういった背景からも、シャチハタを使った訂正は不可とされる場合があります。

訂正内容の記載や押印のスペースがないときは?

できるだけ訂正箇所の近くに押印したほうがよいですが、スペースがないときは空いたところに押しても大丈夫です。訂正内容の記載や押印のスペースがない場合は、追記用紙を用意して、訂正内容を記載し、訂正印を押します。
追記用紙には「追加用紙」と明記し、契約書のページ数、日付、訂正箇所の記載が必要です。

何度でも訂正は可能?

訂正の回数には制限がなく、何度でも行えます。複数回訂正するときは、履歴や内容がわかるようにしておきましょう。履歴を残しておくことで、どのように訂正したかわからなくなってしまうことを防げます。二重線に重ねた訂正印で文字が読みづらい場合は、どこを修正したのか分かるように、訂正した部分から遠すぎない場所に訂正印を押しましょう。

訂正印は小さい印鑑にしても良い?

訂正印のサイズについては、特に定められていません。訂正箇所のすぐ上や横に押すため、小さめの印面のほうが見やすいでしょう。ただし、重要書類などの訂正に使用する場合は、押印と同じ印鑑を使用しなければなりません。
印鑑の形状には丸形や小判型(楕円形)などがありますが、どのようなものを使用しても問題ありません。訂正箇所を分かりやすくするために、しっかりと印を押すようにしましょう。

訂正ではなく条項の追加や契約内容の変更が生じた場合は?

契約内容の変更や条項の追加が生じた場合は、訂正印ではなく、新たに契約書を作成する必要があります。契約書の変更には、当事者間で合意した内容を記載し、署名・捺印します。

契約の当事者が複数名にわたる場合の処理は?

契約の当事者が複数名にわたる場合は、全員分の訂正印が必要です。訂正内容について全員が合意していることが確認でき、後でトラブルが起きる可能性を減らすことができるからです。したがって、訂正する際は必ず全員分の訂正印を用意するようにしましょう。

契約が締結する前までなら訂正印は不要?

契約が締結する前であっても、訂正箇所がある場合は訂正印を押すことが望ましいです。訂正内容についての合意が明確になり、後でトラブルを防げます。ただし、契約締結前の段階で多くの訂正が生じている場合は、新たな契約書を作成したほうがよいでしょう。

まとめ

本記事では、契約書の正しい訂正方法について解説しました。契約書の訂正を行う場合は、疑問点にあげた内容や注意点を理解し、正確かつ適切な方法で訂正しなければなりません。重要書類で訂正印や捨印を使用する際には、記名、押印に使用した印鑑と同じものを使わなければならない点はとくに重要です。
また、複数人が記名・押印した書類を訂正する場合は、書類に同意したメンバー全員分の印鑑が必要です。訂正に使う印鑑や、印鑑に関する疑問、お悩みははんこ屋さん21に相談しましょう。はんこ屋さん21では、全国に店舗を構えており、印鑑に関する疑問の解消から、オリジナルの印鑑の作成、事業用印鑑の作成までワンストップで対応します。

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